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遺族の声
お兄ちゃんへの手紙(七回忌によせて)
正月過ぎの中旬、あなたの七回忌をしたのよ。神戸の清光寺、会社の方や、親戚の方達に来ていただきました。あなたもきっとあの席に来てくれて居たことでしょう。この酒宴も、あまり賑やかに歌う事も出来ず、あなたの甥だけが、まんがの歌を喜んで歌っていましたっけ。
ホントにアッという間の六年間ですが……長かった心閉ざした日々であったというのが本当の所です。あなたを病院から、連れ帰る車中、満月が煌々と照りわたり、大震災の予兆であったとは知る由もなかったのネ。私は今も満月を見ると、その時の悲しい思いがよみがえります。あなたを2階の広間に移し、お葬式の準備をしておりましたら、ドーンと家が揺れましたね。私自身はあのぐらぐらと揺れるのを、ちっとも、怖くも何ともなくあなたと向き合っていました。あなたを失った悲しみにこの地震にも平然としていられたことは、自分でも驚きでした。一人の死は地震もどうって事ない程に辛いものなのです。
その後あなたを失った家の中は、妹も弟も大学をフラフラとして「お兄ちゃんが居たらきっと叱ってくれるのに」と心の中で、祈っていました。お父さんも、おばあちゃんも体調を崩したまま、甥のみが「変身」と言ってはしゃいで居ます。
あなたも「変身」と言って出てきて欲しい。それが私の願いです。
母より
Y・Kさん 1995年歿 30歳
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