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平成16年2月4日

厚生労働省
健康局長 殿
医薬局長 殿
保険局長 殿
地方ブロック拠点病院 病院長  殿

平成15年度 中央運営協議会 議題

東京HIV訴訟原告団

 

大阪HIV訴訟原告団


 中央運営協議会においては、以下の事項を協議されたい。 

1.ブロック共通の議題

1.1 独立行政法人への移行に伴うHIV訴訟原告団との協議の持ち方について

 平成16年度より、国立病院(ナショナルセンター・ハンセン病療養所を除く)および国立大学病院が独立行政法人へと移行し、厚生労働省も組織改編が行われる。厚生労働省は、これに伴いHIV訴訟原告団とのエイズ医療体制の整備に関する協議(中央運営協議会・医療協議会等)の要綱を改められたい。

1.2 HIV/HCV重複感染者の医療体制整備

 我々HIV感染被害者は、HIVとHCVの重複感染により、特異的かつ急激な肝臓の悪化で肝硬変・肝ガンに至り、近年、死亡する者が顕著に増加している。また多くのHIV/HCV重複感染者は、一刻も早い肝臓治療を必要としており、もはや猶予がない緊急事態といえる。薬害被害HIV/HCV重複感染者のC型肝炎治療は、HIV感染症における重篤な合併症として、一般の肝炎治療の枠組みを越えた迅速かつ積極的な治療を行う必要がある。こうした現状を踏まえて、早急に薬害HIV/HCV重複感染者の肝炎治療体制の整備を図られたい。 
そこで、緊急的な課題として以下の点を要望する。 

1) インターフェロンの自己注射
薬害被害HIV/HCV重複感染者のIFN自己注射を保険適用していただきたい。 

2) 重症被害者への迅速な生体肝移植の実施
生体肝移植が成人にも保険適用となったことから、肝硬変、肝ガンといった重症被害者に対して生体肝移植の実績のある施設と連携を取りながら、ブロック拠点病院においても、症例に応じて、早急、かつ積極的に生体肝移植が受けられるよう対応していただきたい。 

 

1.3 メンタルヘルス・ケアの医療体制整備

 最近、抗HIV治療(HAART)の長期化、抗HIV薬の副作用、インターフェロン療法などが原因と思われる精神・神経的症状(躁うつ、不眠、自殺念慮、等)を呈する感染被害者が増え、これらが原因となって死亡したと考えられる被害者が少なくない。 
 したがってHIV感染被害患者のメンタルヘルス・ケア医療体制を早急に構築し整備されたい。 

 

1.4 救済医療としてのHIV医療スタッフの確保

 ブロック拠点病院においては、HIV感染被害患者の救済医療としてのHIV医療スタッフを確保されるよう強くお願いする。 
 なお以前から要求している通り、患者数の増加が著しい地域には、リサーチレジデントに依存するだけでなく、率先して専任の正規職員を配置されたい。

1.5 MSWの常勤化

 ブロック拠点病院におけるMSWの必要性は十分認識されているものと考える。多くのブロック拠点病院では、エイズ対策促進事業による都道府県からの派遣により、MSWが配置されているところであるが、常勤職員として院内に確保していただくようお願いする。また、そのための財政支援を国立病院については厚生労働省に、大学病院については文部科学省および厚生労働省にお願いする。

1.6 血友病治療環境の整備

1) 血友病性関節症の治療体制整備および整形外科医の確保

 HIV感染被害患者は、これまで人工関節置換術等の大きな手術を特定の医療機関でしか実施できなかった。今後はブロック拠点病院においても実施可能となるよう、厚生労働省は、感染防止に必要な各設備(クリーンルーム等)を整えると共に、血友病性関節症に関連した整形外科的治療体制(関節液注入療法、リハビリテーション等を含む)を早急に整備されたい。 
 ブロック拠点病院にこれまで血友病性関節症の治療に積極的に携わってきた整形外科医を招聘するなど、血友病性関節症を診断・治療可能な人的体制を確保されるようお願いする。 

2) 血友病専門医の確保について 

 かねてから要求するところであるが、薬害被害者の治療に関し、上記関節症治療の現場においても、またHIV/HCV重複感染患者においても、肝臓機能の低下に伴い高度な止血管理が不可欠であり、ブロック拠点病院に止血および凝固管理の専門医師(血友病専門医)の常勤体制を、早急に確保されるよう強くお願いする。 

 

2. ブロック個別議題

2.1 北海道ブロック

コーディネーターナース配置

 北大病院においては、2名のコーディネーターナースが配置され、患者に対しきめ細やかな対応ができるなど、高い実績を上げている。札幌医大病院、旭川医大病院においても、コーディネーターナース(HIV専任看護師)を配置されたい。

2.2 東北ブロック
 専任看護師の定数の確保について

現在、国立仙台病院には専任看護師が2名(外来1、病棟1)配置されているが、今後はさらにHIV感染者・患者数の増加や、抗HIV治療の長期化・複雑化に伴う心理面のケアサポートをはじめ、他科との緊密な連携、緊急時に対する対応など、専任看護師に求められるものは非常に大きい。したがって、厚生省保健医療局長通知(「エイズ治療の地方ブロック拠点病院の整備について(通知)健医発第678号」平成9年4月25日付け)の看護体制(外来2名、病棟1名)に基づいた専任看護師の定数確保を強く求める。 

2.3 関東甲信越ブロック
 ACC首都圏医療協力部立ち上げ

 全国の患者の7割が集中している首都圏地域について、関東甲信越ブロックとして新潟大学で担当していくことが難しいということについては、ここ数年、新潟大学、原告団から問題提起されているところである。そこで昨年、原告団としては、首都圏の医療体制についてはACCに首都圏医療協力部を新設し、同部の医療支援(専門医師・コーディネーターナースの派遣)のもと、各拠点病院等の機能を最大限活用し、そのためACCに専門医師、コーディネーターナースの増員補強をはかるという提案を、中央運営協議会、ACC運営協議会などで行ってきた。この点について、進捗状況、ACC首都圏医療協力部立ち上げの見通しなどご教示願いたい。 

2.4 東海ブロック
1)専門診療医による専任診療体制の確保

 国立名古屋病院には、現在、HIV(感染症)専任の医師がいない。ACC、国立病院大阪医療センターに次ぐ患者数を抱える病院として、将来、診療科としての独立も視野に入れ、他のブロック拠点病院の模範となるべく、HIV診療に関して高度な専門性をもつ専任の医師を中心としたHIV診療体制を構築されたい。

2)リサーチレジデント職員の正式雇用

 また、エイズ予防財団派遣のカウンセラーについて、HIV診療チーム内における役割、実績を評価し、院内に正規職員として雇用する道を開かれたい。その上で、負担を軽減するべく、カウンセラーを補助する業務に当たる職員1名以上をエイズ予防財団からの派遣によって対応されたい。

2.5 北陸ブロック

 HIV感染症を専門的に診療する感染症科を立ち上げ、継続的な専門医を確保されたい。

2.6 近畿ブロック

1) HIV/AIDS先端医療開発センターの整備・拡充 昨年11月1日より国立病院 大阪医療センターに、臨床研究と診療の一体化を目指し 「HIV/AIDS先端医療開発センター」が設置された。このHIV/AIDS先端医療開発センターに、実質的に臨床研究センターと同等程度の機能を有した設備・人的体制の整備を強く求める。

2) 免疫感染症科の独立

 総合内科外来からの独立については、本年度の三者協議において「平成16年4月1日を目標にしている」との認識が示された。厚生労働省においては、免疫感染症科の独立が実現できるよう、早急に必要な人員・設備等の整備のために最大限の協力に努められたい。

3) 治療費の減額査定について

 本年度の三者協議において、平成13年度20万点、平成14年度20万点、平成15年度84万2千点の減額査定があったことが報告された。この減額査定の原因について精査した上で、平成13年度の大臣協議の確認書に基づき、不合理な減額査定が生じることがないよう対策を取られたい。

2.7 中国四国ブロック

 本年度の三者協議において、持ち帰り事項となった以下の項目について回答していただきたい。

A. 広島大学医学部歯学部付属病院

1) 外来診療の充実 
広島大学医学部歯学部付属病院における、木村医師および原医研内科医師による外来診療について具体的な計画を伺いたい。

2) 看護部HIV担当者

看護部所属のHIV担当看護師の担当名、ポジション、主な役割、研修実績等を伺いたい。 

B. 県立広島病院

病院長が必要性を認識した看護部コーディネートの取り組みについての具体的進捗状況、平成16年度の取り組みについて伺いたい。

C. 市立広島市民病院

 病院長が必要性を認識した看護部コーディネートの取り組みについての具体的進捗状況、平成16年度の取り組みについて伺いたい。

2.8 九州ブロック

 国立病院九州医療センターでは、HIV関連の検査に当たる臨床検査技師が研究費による臨時雇用という不安定な雇用形態にある。ブロック拠点病院として、九州ブロック全体の医療体制の発展のためにも、HIV専任の臨床検査技師を院内に正規職員として確保されたい。 


以上 

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